ライフコラム

社会的事業所ってなんだろう? [その1]社会的事業所のはじまり

title_column「社会的事業所」とは、障がいのある人ない人をはじめ、社会的に不利な状況にある人たちも含めた『共に働き、共に生きていく』ことを実践する経済的な事業体です。

モデルは、1970年代ヨーロッパ発祥の「ソーシャルファーム(社会的企業)」だといわれています。入院治療が必要なくなった精神病患者が、通院しながら地域に住み仕事に就くために、病院職員と患者が一緒になって働く企業を自分たちの手で創っていきました。この手法は、1980年代にヨーロッパ各地に広がり、いまでは1万社以上設立されて、「第三の職場」として大変役に立っています。

主に障がい者の雇用に重点を置いていますが、そのほか「労働市場で不利な立場にある人たち」の対象は各国さまざまで、ドイツでは近年、2年以上の長期失業者、55歳以上の中高年者、移民、薬物常用者なども対象に含むようになってきています。
イギリスではこのような考えが「ソーシャルエンタープライズ」と呼ばれ、およそ50万人もの雇用を生み出しています。また、韓国でも2006年12月に「ソーシャル・エンタープライズ法」が成立し、伝統的な福祉から雇用、ビジネスを重視した福祉を導入しています。
近年、アメリカでは「ソーシャルビジネス」における数々の先駆的な取り組みが高く評価され、若い起業家を中心に広がり始めています。

日本では、1980年代に学生運動世代からソーシャルファームという概念が普及されはじめました。2000年代に入ると、高齢者や母子家庭、ネットカフェ難民など徐々に範囲が拡大されていきます。しかし、今現在も日本では「ソーシャル・ファーム」という法人格や当てはまる制度が存在しません。
そんな中、NPO、NGO、ボランティア組織、公益法人、任意団体または企業のCSRといった形で、時代と共に形を変える社会的課題に対する解決として多様な取り組みがされており、それらに見合った新しい福祉制度が求められています。NPOライフの目指す「社会的事業所」もその活動のひとつです。


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